実を言うと銀行は今、お金を貸したがっていることをご存知でしょうか?
バブル崩壊以降、銀行は貸し渋りを続けてきました。ですが、現在では景気に回復の兆しありということでしょうか、銀行は融資を自分達の方から願い出ることも増えて来ています。つまり、銀行はお金を貸したがっているような時期に来ているというこうだと考えられます。
そもそも銀行はただお金を預けるだけのところではありません、預かるだけ預かっても銀行には全くウマミはありません。銀行が自分達にお金が入るのは、基本的に人にお金を貸した時なのです。融資をして、金利として売り上げを得る。これが銀行のお金を得ることが出来るメイントなる機会なのです。
■銀行は融資をする上でいったい何を見ているのでしょう。
では、決算書からそのお話をしたいと思います。
銀行は損益計算書はもちろん見ます。重要ですから。しかし、今銀行が融資をする際に重視しているのは、実は貸借対照表の自己資本の方だといえます。もし自己資本が少なければ会社の経営は安定せず、倒産する可能性が高いので銀行も融資を控えるようになります。
その背景として、そもそも企業は自社の収益で足りない分の資金を、他人資本である銀行から借入金により調達して経営を行っております。特に今までは、銀行側も企業の経営状態によらず、簡単に融資を行った銀行依存型の経営が行われることも往々にあったと思われます。
しかし、バブル経済が崩壊してからは、不良債権が増加して金融システム不安が広がると銀行も安易に融資に応じなくなり、融資を求める会社に対して貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の提出を求めることが一般的になってきたように感じます。
■それでは銀行は決算書のどこを見て、融資を行っても可能な企業かどうかを判断しているのでしょう。
まず、銀行が見るのは上記述べましたように貸借対照表の純資産、つまり自己資本がどの程度充実しているかです。これは自己資本比率を算出すれば一目瞭然となります。自己資本比率が極めて小さい企業や、赤字が累積して利益剰余金がマイナスとなり、その結果自己資本比率がマイナスの値となっている企業では、他人資本に頼った不安定な経営を行わざるをえず、倒産する危険が高くなってしまいます。資金繰りが厳しく、さらに借入しないと経営が成立たない状態の企業に借入金を返済する余裕はなく、銀行は融資を控えるでしょう。
さらに最近ではキャシュフロー計算書が注目されています。キャッシュフロー計算書において、自由に使えるお金、すなわちフリーキャッシュフローが多い企業であれば、借入金の返済が可能です。銀行もフリーキャシュフローの多い企業であれば信用して融資を行える。今のところ、中小企業に関してはキャッシュフロー計算書の作成・開示は義務づけられていませんが、実際には銀行から融資を受ける際に提出を求められることが一般的になってきているようです。
■ 融資したくなる決算書
・ 仮払金、貸付金がない ・ 土地・投資有価証券に含み損がない ・ 会社は累積欠損でも個人に資金残がある ・ 売掛金・受取手形の残が妥当 ・ 棚卸資産の金額が妥当 ・ 銀行の貸している残高が合っている
|
■融資したくない決算書
・ 仮払金、貸付金が多い ・ 土地・投資有価証券に大きな含み損がある ・ 会社は債務超過で、個人に資金残もない ・ 売掛金が増加 ・ 棚卸資産が増加 ・ 銀行の貸している残高と合っていない
|
※あとがき
私の銀行時代の経験から、会社の規模に応じて、規模に見合った金融機関とお付き合いすることも重要な要素である思います。例えば、信用金庫・信用組合→地方銀行→都市銀行の順に融資が受け易いような感想はあります。
例えば、信用金庫は積立預金を営業のきっかけ商品としております。そこでコツコツと積立を続けておけば、信用金庫も今までのお付き合いと、そしてなにより、その人の真面目な人柄がそこに汲み取ることができますので、他の金融機関よりも、より有利に融資を受けれる可能性を高くすることができると思います。
また、銀行は9月や3月の期末前で貸出目標に足りなかったり、その銀行が独自に行う貸出のキャンペーンなどで貸出先をを探している時に、付き合いのある企業や、景気のよさそうな企業に声をかけることが度々あります。
声のかかった企業にとっては、その時は借入の必要がないと思われたとしても、実はこのタイミングが一番お得に融資を受けられるタイミングだといえるでしょう。いうならば、バーゲンやセールと同じ感覚ですね。
銀行の融資は、こちらが困った時には受けにくいものだったりし、言い方悪いですが、借りれる時に借りておくほうが有利に運ぶことも往々にあります。
当然そのお金を無駄に浪費してしまったら本末転倒ですが…。
(担当:HR)