平成28年7月1日より、「中小企業等経営強化法」が施行されました。
内容は、政府が、生産性向上に役立つ取り組みを分かりやすく中小企業・小規模事業者に提供し、生産性を向上させる取り組みを計画した中小企業・小規模事業者等を積極に支援する制度です。
目的は、①生産性向上の必要性、②業種横断的な経営課題への対応、③業種別の経営課題への対応、④中堅企業の重要性が挙げられています。
中小企業等経営強化法 申請の流れは・・・
- 事業所管大臣が、事業分野ごとの生産性向上の方法などを示した指針を策定
- 中小企業・小規模事業や中堅企業は、自社の生産性を向上させるための人材育成や財務管理、設備投資などの取り組みを記載した「経営力向上計画」を各大臣に申請
認定された事業者は、支援措置を受けられる
中小企業等経営強化法 支援対象は・・・
中小企業者が経営力向上計画に基づき取得する新規の機械装置(新品)
・中小企業者とは、資本金の額(出資金の額)が1億円以下の法人
※ただし、1つの大法人に株の2分の1以上所有、2つ以上の大法人に株の3分の2以上所有されていないこと
・生産性を高める機械装置が対象
生産性向上設備投資減税の支援要件3つのうち、2つを満たした機械装置が対象
要件
① 160万円以上
② 生産性1%向上(10年以内に販売開始)
※生産性向上設備投資減税の要件③は最新モデル
・購入でなく、リース(ファイナンスリース取引)についても対象
中小企業等経営強化法 支援措置は・・・
Ⅰ.経営力向上計画が認められた事業者は、法律の施行日から平成31年3月31日までに、生産性を高めるための機械装置を取得した場合、その翌年度から3年間、固定資産税を1/2に軽減
平成28年に取得した設備は、平成29年1月1日時点に所有する資産として申告され、平成29、30、31年度の3年間固定資産税が軽減されます。
ただし、年末までに認定が受けられない場合は、減税の期間が2年間となります。
また、固定資産税以外の特例措置、生産性向上設備促進税制や中小企業投資促進税制との関係では重複適用は可能です。
【生産性向上設備促進税制A類型との対比】
中小企業等経営強化法に
基づく固定資産税の軽減措置 |
生産性向上設備投資促進税制
(A要件) |
|
軽減措置の内容 | 固定資産税 | 法人税額の控除・特別償却 |
対象事業者 | 中小企業者等※ | 青色申告をしている法人・個人
(対象業種や企業規模に制限はない) |
対象設備 | 機械及び装置のみ | 機械及び装置・器具及び備品・工具・建物附属設備・建物・ソフトウエア |
設備の要件 | 生産性1%向上 | 生産性1%向上
最新モデル |
その他満たすべき要件 | 生産等設備を構成するものであること
最低取得価額要件を満たしていること(160万円以上) 国内への投資であること 中古資産・貸付資産でないこと等 |
※中小企業者等には、会社及び個人事業主に加えて、企業組合や協同組合、事業協同組合、事業協同小組合、商工組合、協同組合連合会その他政令で定める組合が含まれます。
Ⅱ. 計画に基づく事業に必要な資金繰りを支援
政策金融機関の低利融資、民間金融機関の融資に対する信用保証、債務保証等により円滑な資金調達を支援
①商工中金による低利融資
②中小企業信用保険法の特例
③中小企業投資育成株式会社法の特例
④日本政策金融公庫によるスタンドバイ・クレジット
⑤中小企業基盤整備機構による債務保証
⑥食品流通構造改善機構による債務保証
と、金融支援の内容がありますが、会社や事業規模によっては該当しないものもあります。
この、固定資産税での設備投資減税は史上初であり、赤字企業にも大きな減税効果が期待されています。
国や地方公共団体から補助金をうけた場合も対象ですし、圧縮記帳は、固定資産税の課税標準に影響しないため、圧縮記帳前の取得価額で160万円以上であれば対象となるようです。
要件等が生産性向上設備促進税制とほとんど変わりませんし、申請書は実質2枚とのことですので、中小企業等経営強化法施行日以降、生産性向上設備促進税制(平成29年3月末廃止)・中小企業等投資促進税制を申請される方は、一緒にされた方が減税につながると思います。
担当:N