税務コンプライアンスの動向について

 

 

国税庁ホームページにて「税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組について」が公表されました。

https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/hojin/sanko/cg.htm

 

税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取り組みが促進されることになります。

 

【コーポレートガバナンスの一般的な意味】

 

いろいろなニュースでガバナンスという言葉を聞きますが、一般的な理解としては次のような意味とされています。

会社においては 顧客や取引先名、さらに地域住民や社会へさまざまな利害関係のなかでその活動が行われています。そのなかで、会社を運営する責任者は、収益力を向上させることは当然のこととして、さらに、企業不正を防ぎ、会社が長期的に存続し発展させることが求められます。このような会社経営を行うため、会社組織の統制や監督を行う仕組みのことをコーポレートガバナンスといわれています。

 

【 税務に関するガバナンスとは 】

国税庁のHPによりますと、 税務についてトップマネジメントが自ら適正申告の確保に積極的に関与し、必要な内部統制を整備すること と記載されています。

 

会社を運営する責任者は 税務についても 適正な申告を行うように、 積極的に活動し、 さらに、そのような会社内部の仕組みを構築する必要性があるというわけですね。

 

国税庁のホームページでは

https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/hojin/sanko/cg.htm

 

1 取組の概要

本取組の概要については、以下をご参照ください。

取組の概要

https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/hojin/sanko/pdf/160701_01.pdf

2 効果的な取組事例

大企業の税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組事例

https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/hojin/sanko/pdf/160701_02.pdf

3 事務実施要領

税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組の事務実施要領の制定について(事務運営指針)

https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/sonota/160614/index.htm

が公表されています。

 

【 会社に期待される具体的な取り組み 】

① 税務コーポレートガバナンスの作成 運用

② 税務コーポレートガバナンスを外部にご理解いただく

③ トップマネジメントが自ら、その取り組みをご説明

④ 税務署としても、税務コーポレートガバナンスの整備状況に応じて対応

 

【 評価のポイント 】

トップマネジメントの関与・指導

経理・監査部門の体制・機能の整備・運用

内部統制の働く税務・会計処理手続きの整備・運用

税務に関する情報及び再発防止策の社内への周知

不適切な行為の抑制策の整備・運用

 

以上のような項目がポイントとして掲載してあります。

同時に取り組み事例が公表されていますので、いくつか見てみたいと思います。

1 トップマネジメントの関与・指導

○ 税務に対する会社の方針の明確化

・ 税法を遵守し正しく納税すること、記録の裏付となる資料を保管すること、帳票の偽造及び税務調査時の虚偽の答弁、事実の隠ぺいを行ってはならないことをコンプライアンス・ハンドブックに記載し、全社員に配布

・ トップマネジメントが遵守の徹底を指示しているコンプライアンスガイドブックに、税務上問題となる取引をケーススタディ形式で掲載し、全社員に配布

・ 企業の社会的責任の中で納税義務の履行が基本的かつ極めて重要であるとのトップマネジメントのメッセージを、人事部主催の階層別研修等において紹介し、税務に対するトップの考えを社内に発信

・ グループ企業に対し、コンプライアンスマニュアルを提供するなど、グループコンプライアンスを推進

・ 取引先と通謀した不正取引を行わない、書類の改ざん・破棄を行わない、事実の仮装・隠蔽を行わない等の税務コンプライアンスに関する事項の遵守を年頭挨拶等においてトップマネジメントが指示するとともに、社内 LAN 及び冊子に掲載して全社員に周知

・ 企業倫理方針を策定し、具体的事項として、適正な会計処理と法人税法の遵守を明記し、社内 LAN により全社員へ周知

 

 

事例を見てみますと、それほど難しいものでもないかもしれません。

すでに ISOや 内部統制の整備を行い、業務手続書などを整備されていらっしゃる方は税務の観点から 項目を検討してみるのも有効と思われます。

 

【 会社内での全般統制、業務処理統制 】

会社全般の取り組みとしては 税務を含め法令順守に努める社風を醸成するため、上記のトップマネジメントによる取り組みが有効化と思われます。

また、業務別の取り組みとしては 「申告書の自主点検と税務上の自主監査」に関する確認表の活用が有効化と思われます。

http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/hojin/sanko/tk.htm

 

【 税務コーポレートガバナンスと中小企業 】

上記の 税務コーポレートガバナンスは比較的大企業向けの取り組みとして整備されていました。

制度運営が進むにつれて、中小企業へもその取り組みが求められてくることになると思われます。

法人会より、国税庁の後援を受けて、自主点検チェックシートが作成されました。

http://tax-compliance.brain-server2.net/compliance/units/

 

【 継続的な 税務コーポレートガバナンス 】

 

これらの取り組みは 定期的に見直され、 不備な点や 法律改正など社会的な変化へ対応し 随時見直しがなされることが望ましいと考えられます。

 

税務コーポレートガバナンスが評価されれば、会社にとってもコンプライアンスの向上や強化が期待され、さらに税務調査期間の延長も検討されるようですので、ぜひ導入をご検討ください。

 

担当 D

投稿者 esstaff