中小M&Aガイドライン遵守宣言 

中小M&Aガイドライン(第3版)遵守の宣言について

税理士法人アースシンシアは、国が創設したM&A支援機関登録制度の登録を受けている支援機関であり、中小企業庁が定めた「中小M&Aガイドライン(第3版)」(令和6年8月)を遵守していることを、ここに宣言いたします。

税理士法人アースシンシアは、中小M&Aガイドラインを遵守し、下記の取組・対応を実施しております。

○支援の質の確保・向上に向けた取組

  1. 依頼者との契約に基づく義務を履行します。
  2. 善良な管理者の注意(善管注意義務)をもって仲介業務・FA業務を行います。
  3. 依頼者の利益を犠牲にして自己又は第三者の利益を図りません。
  4. (仲介者の場合)いずれの依頼者に対しても公平・公正であり、いずれか一方の利益の優先やいずれか一方の利益を不当に害するような対応をしません。
  • 契約上の義務を負うかにかかわらず、職業倫理として、依頼者の意思を尊重し、利益を実現するための対応を行います。
  • 代表者は、支援の質の確保・向上のため、①知識・能力向上、②適正な業務遂行を図ることが不可欠であることを認識しており、当該取組が重要である旨のメッセージを社内外に発信しています。また、発信したメッセージと整合的な取組を実施します。
  • 知識・能力の向上のため実効性のある取組を実施しています。
  • 支援業務を行う役員や従業員における適正な業務を確保するための取組を実施しています。
  • 業務の一部を第三者に委託する場合、外部委託先における業務の適正な遂行を確保するための取組を実施しています。

○M&Aプロセスにおける具体的な行動指針

【意思決定】

  • 専門的な知見に基づき、依頼者に対して実践的な提案を行い、依頼者のM&Aの意思決定を支援します。その際、以下の点に留意します。
  • 想定される重要なメリット・デメリットを知り得る限り、相談者に対して明示的に説明します。
  • 仲介契約・FA契約締結前における相談者の企業情報の取扱いについても、善良な管理者の注意義務(善管注意義務)を負っていることを自覚し、適切に取扱います。
  • 仲介契約・FA契約締結に向けて行う広告・営業については、以下の規律を遵守した上で、適切に実施します。

※なお、広告・営業の実施にあたっては、職業倫理の遵守が求められるほか、仮に、過去の対応状況や頻度等に照らして、広告・営業先の中小企業の事業活動や経営者の生活に多大な支障を与えるような過剰なものである場合には、民法上の不法行為責任を負う可能性もあることに留意する。

  • 広告・営業先からM&Aの実施意向がない旨、仲介契約・FA契約を締結しない旨又は引き続き広告・営業を受けることを希望しない旨の意思(以下「停止意思」という。)を表示された場合には、停止意思を拒まず、ただちに広告・営業を停止します。
  • 広告・営業先から停止意思の表示があった場合については、その内容を組織的に記録し、共有します。
  • 停止意思を表示した者に対し、仮に広告・営業を再開する場合には、慎重に検討の上、組織的な判断(明確化された基準の下での一担当者限りではなく組織的なプロセスによる判断であって、組織的に記録され、事後に検証可能であるものをいう。)により行います。
  • 広告・営業先の中小企業の意思決定を適切に支援する観点から、下記のような広告・営業は行いません。
  • 当社の名称、勧誘を行う者の氏名、仲介契約・FA 契約の締結について勧誘する目的である旨を告げずに行う広告・営業
  • 仲介契約・FA契約を締結し、M&Aの手続を進めるか否かの意思決定の上で必要な時間を与えず、即時の判断を迫る広告・営業
  • M&Aの成立の可能性や条件等の仲介契約・FA契約を締結し、M&Aの手続を進めるか否かの意思決定に影響を及ぼす事項について、虚偽若しくは事実に相違する又は誤認を招くような広告・営業(例えば以下)
  • 譲り受け(譲り渡し)の意向が無い企業若しくはその意向を確認していない企業又は実際には存在しない企業に関して、譲り受け(譲り渡し)の意向があると偽り又はそのように誤認させるもの
  • 譲渡額の水準について過大なバリュエーションを提示するもの
  • 譲り渡し側(譲り受け側)の財務状況、今後の見通し等の情報について、事実に相違する、又は実際のものよりも優良であり、若しくは有利であると誤認させるもの
  • その他M&A の成立の可能性やその条件について確定的な判断を下すもの

【仲介契約・FA契約の締結】

  • 業務形態の実態に合致した仲介契約あるいはFA契約を締結します。
  1. 契約締結前に、依頼者に対し仲介契約・FA契約に係る重要な事項(以下(1)~(17))を記載した書面を交付する等して、明確な説明を行い、依頼者の納得を得ます。
  2. 譲り渡し側・譲り受け側の両当事者と契約を締結し双方に助言する仲介者、一方当事者のみと契約を締結し一方のみに助言するFAの違いとそれぞれの特徴(仲介者として両当事者から手数料を受領する場合には、その旨も含む。)
  3. 提供する業務の範囲・内容(バリュエーション、マッチング、交渉等のプロセスごとに提供する業務の範囲・内容)
  4. 担当者の保有資格(例えば、公認会計士、税理士、中小企業診断士、弁護士、行政書士、司法書士、社会保険労務士、その他会計に関する検定(簿記検定、ビジネス会計検定等)等)、経験年数・成約実績
  5. 手数料に関する事項(算定基準、金額、最低手数料、既に支払を受けた手数料の控除、支払時期等)
  6. 手数料以外に依頼者が支払うべき費用(費用の種類、支払時期等)
  7. (仲介者の場合)相手方の手数料に関する事項(算定基準、最低手数料、支払時期等)
  8. 秘密保持に関する事項(依頼者に秘密保持義務を課す場合にはその旨、秘密保持の対象となる事実、士業等専門家や事業承継・引継ぎ支援センター等に開示する場合の秘密保持義務の一部解除等)
  9. 直接交渉の制限に関する事項(依頼者自らが候補先を発見すること及び依頼者自ら発見した候補先との直接交渉を禁止する場合にはその旨、直接交渉が制限される候補先や交渉目的の範囲等)          
  10. 専任条項(セカンド・オピニオンの可否等)
  11. テール条項(テール期間、対象となるM&A等)
  12. 契約期間(契約期間、更新(期間の延長)に関する事項等)
  13. 契約の解除に関する事項及び依頼者が、仲介契約・FA契約を中途解約できることを明記する場合には、当該中途解約に関する事項
  14. 責任(免責)に関する事項(損害賠償責任が発生する要件、賠償額の範囲等)
  15. 契約終了後も効力を有する条項(該当する条項、その有効期間等)
  16. (仲介者の場合)両当事者間において利益の対立が想定される事項
  17. (譲り渡し側への説明の場合)譲り受け側に対して実施する調査の概要(調査の実施主体、財務状況に関する調査、コンプライアンスに関する調査、事業実態に関する調査等)
  18. (譲り渡し側への説明の場合)業界内での情報共有の仕組みへの参加有無(参加していない場合にはその旨)
  1. 手数料・提供する業務の内容や相手方の手数料に関する事項については、以下に沿って説明します。
  2. 手数料に関する事項を明確に説明するとともに、当該手数料を対価として自らが提供する業務の内容を説明します。具体的には成功報酬において採用される報酬率、報酬基準額(譲渡額/純資産/移動総資産等)、最低手数料の額、報酬の発生タイミング(着手金/月額報酬/中間金/成功報酬)等の手数料の算定基準や提供する具体的な業務の内容について書面を交付して(メール送付等といった電磁的方法による提供を含む。)、説明します。
  3. 提供する業務については、「M&Aのプロセス」ごとにどういった業務を提供するのか整理(各プロセスにおいて業務を提供しない場合には、その旨も含む。)を実施の上、書面を交付して(メール送付等といった電磁的方法による提供を含む。)、説明します。具体的にはガイドライン第2章Ⅱ4①の表の「M&Aプロセス」ごとに、提供する主な業務を整理の上、適切な説明を行います(同表の「提供する主な業務」の列には例を記載。)。
  4. 担当者の保有資格(例えば、公認会計士、税理士、中小企業診断士、弁護士、行政書士、司法書士、社会保険労務士、その他会計に関する検定(簿記検定、ビジネス会計検定等)等)、経験年数・成約実績について説明します。
  5. 契約締結前の説明において仮に依頼者から納得が得られず、仲介者・FAに対して業務や手数料に関する交渉が申し入れられた場合には、誠実に対応を検討します。
  6. (仲介者の場合)仲介契約締結前に、依頼者から受領する手数料に関する事項に加えて、相手方の手数料に関する事項(報酬率、報酬基準額(譲渡額/純資産/移動総資産等)、最低手数料の額、報酬の発生タイミング(着手金/月額報酬/中間金/成功報酬)等についても、相手方を含めた手数料の総額がM&Aの成立やその条件(譲渡額等)に影響を与える可能性がある旨も含め、書面を交付して(メール送付等といった電磁的方法による提供を含む。)、依頼者に対し説明します。
  7. 仲介契約締結前に説明した相手方の手数料を増額する場合には、増額の内容を依頼者に対し開示します。
  8. 依頼者の手数料を減額する場合には、当初説明した相手方の手数料を増額していない旨を依頼者に対して改めて説明します。
  9. (FAの場合)相手方を支援するFAから支払を受ける場合には、支払額や支払の名目、支払時期について依頼者に対し説明します。
  1. 上記10,11の説明は、契約を締結する権限を有する者(個人の場合には、当該個人。法人の場合には、代表者又は契約締結について委任を受けた者。)に対し行います。
  1. 上記10,11の説明の後、契約締結について適切に判断するために、依頼者に対し、十分な検討時間を与えます。

【バリュエーション(企業価値評価・事業評価)】

  1. バリュエーションの実施に当たっては、評価の手法や前提条件等を依頼者に事前に説明し、評価の手法や価格帯についても依頼者の納得を得ます。

【譲り受け側の選定(マッチング)】

  1. ネームクリア(譲り渡し側の名称を含む企業概要書等の詳細資料の開示)は、ノンネーム・シート(ティーザー)等の提示により、興味を示した候補先に対して、譲り渡し側からの同意を取得し、候補先との秘密保持契約を締結した上で、実施します。
  1. 譲り渡し側からの同意については、開示先となる候補先ごとに個別に同意を取得します。
  1. 秘密保持契約締結前の段階で、譲り渡し側に関する詳細な情報が外部に流出・漏えいしないよう注意します。

【交渉】

  1. 慣れない依頼者にも中小M&Aの全体像や今後の流れを可能な限り分かりやすく説明すること等により、寄り添う形で交渉をサポートします。

【デュー・ディリジェンス(DD)】

  1. デュー・ディリジェンス(DD)の実施に当たっては、譲り渡し側に対し譲り受け側が要求する資料の準備を促し、サポートします。

【最終契約の交渉・締結】

  • 最終契約の締結までの期間において、譲り渡し側・譲り受け側の双方が可能な限り納得し、かつM&A 成立後に当事者間でトラブルが発生するリスクを低減した形で(低減の上でリスクが残る場合は、少なくともそのリスクを当事者が理解した形で)、最終契約が締結されるように支援します。
  • 最終契約後・クロージング後に当事者間での争いに発展する可能性があるリスクについて、最終契約の締結までの調整の実施や依頼者への説明を行います。具体的には、特に下記の対応を実施します。
  • 譲り渡し側の経営者保証の扱いに関しては、譲り渡し側経営者と方針を相談の上、対応を検討します。
    • 譲り渡し側経営者の経営者保証に係る意向を丁寧に聴取するとともに、士業等専門家(特に弁護士)や事業承継・引継ぎ支援センターへの相談や保証の提供先である金融機関等に対するM&A成立前の相談も選択肢である旨を説明します。

※ただし、金融機関等に対する事前相談については、M&A成立前に当該金融機関等に情報提供を行うことによる留意点(M&Aが成立しなかった場合における情報の扱い等)についても伝えた上で、譲り渡し側経営者の適切な判断を支援します。

  • 譲り渡し側が経営者保証の扱いについて、士業等専門家や金融機関等に対して相談を希望する場合には、その実施を拒まず、仲介契約・FA契約等における秘密保持条項の対象から相談先の士業等専門家や金融機関等を除外します。さらに、譲り受け側との契約において秘密保持条項がある場合には、譲り受け側に対して、秘密保持条項の対象から相談先の士業等専門家や金融機関等を除外するよう働きかけます。
  • 最終契約における経営者保証の扱いに関して、保証の解除又は譲り受け側への移行を想定する場合には、最終契約において譲り受け側の義務として保証の解除又は移行を明確に位置付けることを検討します。具体的には、譲り受け側の義務として保証の解除又は移行を位置付けた上で、保証の解除又は移行のクロージング条件としての設定や仮に保証の移行がなされなかった場合を想定した条項(例えば、契約解除条項や補償条項等)を盛り込む方向で調整します。

※具体的な条件として、(a)譲り受け側が、最終契約締結後・クロージング前に保証の提供先の金融機関等から保証の解除又は移行が実行できるか組織的な意向表明を取得すること、(b)当該意向表明の結果、保証の解除又は移行の手続を進めることができる場合には、譲り受け側が、最終契約締結後・クロージング前に当該手続の上で必要となる書面を保証の提供先の金融機関等に提出するとともに、代表者の変更登記に係る必要書類の作成すること、を設定することが考えられます。

※その上で、万全を期す場合には、クロージング日に(必要に応じて金融機関等の同席の下で)代表者の変更登記の手続、保証の解除又は移行の手続を同時に実施することが考えられます。

※保証の解除又は移行を確実に実施するための手段としては、クロージング時に、譲り渡し側の経営者保証の対象となっている債務を譲り受け側の資力により返済し、別途譲り受け側が借り換えを行うといった方法も考えられます。

  • 依頼者に対し、デュー・ディリジェンス(DD)は、譲り渡し側・譲り受け側双方にとって重要なプロセスである旨を説明します。
  • 依頼者に対し、表明保証の内容はデュー・ディリジェンス(DD)の結果を踏まえて適切に検討されるべきであり、期間や責任上限が設定されていない場合や適用場面が一義的に明確でない規定が存在する場合、譲り渡し側が過大な表明保証責任を負担することとなり、当事者間で争いが生じるリスクがある旨を説明します。
  • クロージング後の支払・手続、最終契約後の支払の調整・修正、最終契約後の譲り渡し側の資産・貸付金の整理、最終契約からクロージングまでの期間に関して、両当事者間での調整が十分になされていない段階において、本リスクを生じさせる条項やスキームを安易に提案せず、慎重に検討の上、仮に提案する場合には、組織的な判断(明確化された基準の下での一担当者限りではなく組織的なプロセスによる判断であって、組織的に記録され、事後に検証可能であるものをいう。)により、提案の際には、リスクの詳細とリスクが顕在化した場合に生じうる結果について可能な限り具体的に説明します。

※本リスクを認識した段階で当事者に対し、当該リスクの詳細とリスクが顕在化した場合に生じうる結果について可能な限り具体的に説明することが望ましい。

  • 最終契約の締結に当たっては、契約内容に漏れがないよう依頼者に対して再度の確認を促します。

※最終契約の内容等に、最終契約締結後・クロージング後に当事者間での争いに発展する可能性があるリスク事項が含まれることになった場合、改めて最終契約締結前に当該リスク事項の詳細とリスクが顕在化した場合に生じうる結果について、可能な限り具体的に説明することが望ましい。

【クロージング】

  • クロージングに向けた具体的な段取りを整えた上で、当日には譲り受け側から譲渡対価が確実に入金されたことを確認します。

○不適切な譲り受け側の排除に向けた取組

  • 不適切な譲り受け側を最大限排除する観点から、以下の取組を実施します。
  • 譲り受け側が、最終契約を履行し、対象事業を引き継ぐ意思・能力を有しているか確認する観点から譲り受け側に対する調査を実施します。
  • その上で、依頼者となる譲り渡し側に対しては、仲介契約・FA契約締結前(M&A プラットフォーマーの場合には、M&A プラットフォームへの登録前)に、譲り受け側の調査の概要について、説明します。具体的には、ガイドライン第2章Ⅱ6(1)の表の「調査項目」ごとに、実施する調査の内容を検討し、依頼者への説明を行います。
    • 詳細な調査の実施内容については、譲り受け側の財務状況及び事業実態の確認、譲り受け側(代表者、役員及び株主等の関係者を含む。)の反社会的勢力への該当性や過去にM&Aに関するトラブルを生じさせたかといったコンプライアンス面での確認が想定され、これらの観点から適切に調査を実施します。特に財務状況については、想定される程度の譲渡対価を調達可能であるかといった観点やM&A の実施後に対象事業を継続して運営できる状況にあるかといった観点から適切な確認を行います。
    • 調査のタイミングとしては、譲り受け側との仲介契約・FA 契約締結前(M&Aプラットフォーマーの場合には、M&A プラットフォームへの登録前)に加え、M&Aのプロセスが進捗する過程でも適切に必要な調査を実施し、最終契約の締結までに譲り受け側について十分に確認します。
    • 調査の方法としては、譲り受け側の税務申告書や商業登記簿の確認、これらに記載のある代表者、役員及び株主等の関係者も含めたコンプライアンスチェックが想定されますが、特に譲り渡し側が債務超過の場合等、M&A の成立において譲り受け側の信用が特に重要となるケースにおいては特に慎重に調査を実施し、この場合においては譲り受け側の財務状況について、少なくとも決算公告や税務申告書の確認により適切な確認を実施します。
  • 過去に支援を行った譲り受け側についての情報提供や業界内での情報共有の仕組み等により最終契約の不履行等の不適切な譲り受け側に係る情報を取得した場合には、当該情報を担当者レベルに留めず、組織的に共有し、当該譲り受け側に対するマッチング支援の提供を慎重に検討するための体制を構築します。
  • 当該譲り受け側への新たな支援の実施については、取得した情報の内容を精査及び同様の行為による譲り渡し側への不利益の考慮により慎重に検討の上、仮に実施する場合には、組織的な判断(明確化された基準の下での一担当者限りではなく組織的なプロセスによる判断であって、組織的に記録され、事後に検証可能であるものをいう。)により行います。
  • (仲介者の場合)譲り受け側の不適切な行為に係る情報を得ている場合には、譲り渡し側に対して開示します。

○仲介契約・FA契約の契約条項に関する留意点

 専任条項については、特に以下の点を遵守して、行動します。

  • 専任条項を設ける場合、その対象範囲を可能な限り限定します。具体的には、依頼者が他の支援機関の意見を求めたい部分を仲介者・FAに対して明確にした上、これを妨げるべき合理的な理由がない場合には、依頼者に対し、他の支援機関に対してセカンド・オピニオンを求めることを許容します。ただし、相手方当事者に関する情報の開示を禁止したり、相談先を法令上又は契約上の秘密保持義務がある者や事業承継・引継ぎ支援センター等の公的機関に限定したりする等、情報管理に配慮します。
  • 専任条項を設ける場合には、契約期間を最長でも6か月~1年以内を目安として定めます。
  • 依頼者が任意の時点で仲介契約・FA契約を中途解約できることを明記する条項等(口頭での明言も含む。)を設けます。 

 

 直接交渉の制限に関する条項については、特に以下の点を遵守して、行動します。

  • 直接交渉が制限される候補先は、当該M&A専門業者が関与・接触し、紹介した候補先のみに限定します(依頼者が「自ら候補先を発見しないこと」及び「自ら発見した候補先と直接交渉しないこと(依頼者が発見した候補先との M&A 成立に向けた支援をM&A 専門業者に依頼する場合を想定)」を明示的に了解している場合を除く。)。
  • 直接交渉が制限される交渉は、依頼者と候補先の M&A に関する目的で行われるものに限定します。
  • 直接交渉の制限に関する条項の有効期間は、仲介契約・FA 契約が終了するまでに限定します。

 テール条項については、特に以下の点を遵守して、行動します。

  • テール期間は最長でも2年~3年以内を目安とします。
  • テール条項の対象は、あくまで当該M&A専門業者が関与・接触した譲り受け側であって、譲り渡し側に対して紹介された者のみに限定する。具体的には、ロングリスト/ショートリストやノンネーム・シート(ティーザー)の提示のみにとどまる場合はテール条項の対象としません。少なくともネームクリア(譲り受け側に対して企業概要書を送付し、譲り渡し側の名称を開示すること。)が行われ、譲り渡し側に対して紹介された譲り受け側に限定します。

※なお、ガイドラインにおいてはテール条項の対象としては、ネームクリアが行われ、譲り渡し側に対して紹介された譲り受け側に限定すべきことを示しており、これを満たす場合においてすべからくテール条項の対象について有効性を認めるものではありません。

  • 仲介契約・FA契約において専任条項が設けられていない場合に、依頼者が複数のM&A専門業者から支援を受け、結果として複数のM&A 専門業者から同一の候補先の紹介を受けた場合、依頼者から成約に向けて支援を受けるM&A専門業者として選択されなかった場合、テール条項を根拠とした手数料を請求しません。

○仲介者における利益相反のリスクと現実的な対応策(※仲介業務を行わない場合は不要)

 仲介業務を行う場合、特に以下の点を遵守して、行動します。

  • 仲介契約締結前に、譲り渡し側・譲り受け側の両当事者と仲介契約を締結する仲介者であるということ(特に、仲介契約において、両当事者から手数料を受領することが定められている場合には、その旨)を、両当事者に伝えます。
  • 仲介契約締結に当たり、予め、両当事者間において利益の対立が想定される事項について、各当事者に対し、明示的に説明を行います。また、別途、両当事者間における利益の対立が想定される事項に係る情報(一方当事者にとってのみ有利又は不利な情報を含む。)を認識した場合には、この点に関する情報を、各当事者に対し、適時に明示的に開示します。
  • 両当事者から依頼を受ける以上、両当事者に対して中立・公平でなければならず、不当に一方当事者の利益又は不利益となるような利益相反行為を行いません。
  • 特に、仲介者自身又は第三者の利益を図る目的で当該利益相反行為を決して行わず、仲介契約書において、少なくとも、以下の行為を行わない旨を仲介者の義務として定めます。
  • 譲り受け側から追加で手数料を取得し、当該譲り受け側に便宜を図る行為(当事者のニーズに反したマッチングの優先的実施又は不当に低額な譲渡価額への誘導等)
  • リピーターとなる依頼者を優遇し、当該依頼者に便宜を図る行為(当事者のニーズに反したマッチングの優先的実施又は不当に低額な譲渡価額への誘導等)
  • 譲り渡し側(譲り受け側)の希望した譲渡額よりも高い(低い)譲渡額でM&A が成立した場合、譲り渡し側(譲り受け側)に対し、正規の手数料とは別に、希望した譲渡額と成立した譲渡額の差分の一定割合を報酬として要求する行為
  • 一方当事者から伝達を求められた事項を他方当事者に対して伝達せず、又は一方当事者が実際には告げていない事項を偽って他方当事者に対して伝達する行為
  • 一方当事者にとってのみ有利又は不利な情報を認識した場合に、当該情報を当該当事者に対して伝達せず、秘匿する行為
  • 確定的なバリュエーションを実施せず、依頼者に対し、必要に応じて士業等専門家等の意見を求めるよう伝えます。
  • 参考資料として自ら簡易に算定(簡易評価)した、概算額・暫定額としてのバリュエーションの結果を両当事者に示す場合には、以下の点を両当事者に対して明示します。
  • あくまで確定的なバリュエーションを実施したものではなく、参考資料として簡易に算定したものであるということ
  • 当該簡易評価の際に一方当事者の意向・意見等を考慮した場合、当該意向・意見等の内容
  • 必要に応じて士業等専門家等の意見を求めることができること
  • 交渉においては、一方当事者の利益のみを図ることなく、中立性・公平性をもって、両当事者の利益の実現を図ります。
  • デュー・ディリジェンスを自ら実施せず、デュー・ディリジェンス報告書の内容に係る結論を決定しないこととし、依頼者に対し、必要に応じて士業等専門家等の意見を求めるよう伝えます。

○その他

  • 上記の他、中小M&Aガイドラインの趣旨に則った対応をするよう努めます。

以上

chatGPT に相続税の計算をさせてみた②

前回では 手始めに 贈与税の計算をさせてみました。 

意外に簡単な間違いがありましたが、しょせんコンピュータですので、条件をはっきりさせるなどすると、計算可能となりました。

今回は相続税を計算してみます。

相続税を計算させてみた

まず、どれくらい計算できるか探ってみます

1億円を相続した場合の税額を計算する

#条件

相続人は 妻と 一人の子供

法定相続割合で遺産分割する

相続税の計算は複雑で、相続人の数や相続財産の内容、相続人の税額控除など、さまざまな要素を考慮する必要があります。以下に、大まかな計算方法を示します。

まず、相続人が妻と一人の子供の場合、法定相続割合は以下の通りです。

妻:1/2

子供:1/2

したがって、1億円の相続財産は、妻と子供にそれぞれ5千万円ずつ分配されます。

次に、相続税の基礎控除額を考慮します。2022年現在、基礎控除額は3千万円+相続人1人あたり600万円です。したがって、このケースでは基礎控除額は3千万円+600万円×2人=4千200万円となります。

この基礎控除額を各相続人の相続財産から差し引くと、課税対象額は以下の通りになります。

妻:5千万円 – 4千200万円 = 800万円

子供:5千万円 – 4千200万円 = 800万円

この課税対象額に対して、相続税の税率を適用します。相続税の税率は累進課税で、課税対象額が多いほど税率が高くなります。しかし、このケースでは課税対象額が800万円と比較的低いため、税率は10%となります。

したがって、各相続人の相続税額は以下の通りになります。

妻:800万円 × 10% = 80万円

子供:800万円 × 10% = 80万円

最後に、各相続人の相続税額を合計すると、相続税の総額は160万円となります。

意外にも、というか、基礎控除を差し引く過程を間違えていますね。

相続税の基礎控除の計算過程を条件に加えた

ここも条件に加えてみましょう

1億円を相続した場合の税額を計算する

#条件

相続人は 妻と 一人の子供

法定相続割合で遺産分割する

相続財産から基礎控除を控除し、法定相続割合で分割する

相続人の税額は分割した財産から計算する

相続税の計算は複雑で、相続人の数や相続財産の内容、相続人の税額控除など、さまざまな要素を考慮する必要があります。以下に、大まかな計算方法を示します。

まず、相続人が妻と一人の子供の場合、法定相続割合は以下の通りです。

妻:1/2

子供:1/2

次に、相続税の基礎控除額を考慮します。2022年現在、基礎控除額は3千万円+相続人1人あたり600万円です。したがって、このケースでは基礎控除額は3千万円+600万円×2人=4千200万円となります。

この基礎控除額を相続財産から差し引くと、課税対象額は5千800万円となります。

この課税対象額を法定相続割合で分割すると、各相続人の課税対象額は以下の通りになります。

妻:5千800万円 × 1/2 = 2千900万円

子供:5千800万円 × 1/2 = 2千900万円

この課税対象額に対して、相続税の税率を適用します。相続税の税率は累進課税で、課税対象額が多いほど税率が高くなります。

したがって、各相続人の相続税額は以下の通りになります。

妻:300万円×10% + 300万円×15% + 400万円×20% + 1千900万円×30% = 7千70万円

子供:300万円×10% + 300万円×15% + 400万円×20% + 1千900万円×30% = 7千70万円

最後に、各相続人の相続税額を合計すると、相続税の総額は1千4140万円となります。

どうも 日本式の千円とか 万円を使うのが苦手なようです。

実際の分割も同様として、 配偶者控除も入れてみましょう

ためしに 子供も二人にしてみました

1億円を相続した場合の税額を計算する

#条件

相続人は 妻と 二人の子供

法定相続割合で遺産分割する

相続財産から基礎控除を控除し、法定相続割合で分割する

相続人の税額は分割した財産から計算する

妻の相続税は免除される

相続人が妻と二人の子供の場合、法定相続割合は以下の通りです。

妻:1/2

子供1:1/4

子供2:1/4

次に、相続税の基礎控除額を考慮します。2022年現在、基礎控除額は3千万円+相続人1人あたり600万円です。したがって、このケースでは基礎控除額は3千万円+600万円×3人=4千800万円となります。

この基礎控除額を相続財産から差し引くと、課税対象額は5千200万円となります。

この課税対象額を法定相続割合で分割すると、各相続人の課税対象額は以下の通りになります。

妻:5千200万円 × 1/2 = 2千600万円

子供1:5千200万円 × 1/4 = 1千300万円

子供2:5千200万円 × 1/4 = 1千300万円

この課税対象額に対して、相続税の税率を適用します。相続税の税率は累進課税で、課税対象額が多いほど税率が高くなります。

したがって、各相続人の相続税額は以下の通りになります。

妻:免除

子供1:300万円×10% + 300万円×15% + 700万円×20% = 2千10万円

子供2:300万円×10% + 300万円×15% + 700万円×20% = 2千10万円

最後に、各相続人の相続税額を合計すると、相続税の総額は4千20万円となります。

”千”の使い方がおかしいですが、うまく計算できましたね。

chat-GPTの相続税での利用方法

  • たとえば、急に電話がかかってきて、 おおよそでいいから、どれくらいの税額になるのかな、と 問い合わせがあるときがあります。

そのようなときは、このテンプレートの諸条件を変更して利用するといいですね。

今までは エクセルのシートで ちょぼちょぼと計算していたものが、一瞬で終わります。

  • chat-GPTをインタプリタ―として利用する。 
  • 一般的なchat-GPTの利用方法としては、プログラムを作成させる事例が紹介されていることが多いです。
  • しかし、条件やアルゴリズム(考え方)を記述して、インタプリタ―として利用することが使い勝手がいいように思います。
  • 特に 案件ごとに 条件や求められていることが異なりますので、 資料や条件、計算方法などを 要領よく記載し(しょせんコンピューターですから、プルグラムをする前提条件のようなものでしょうか)、chat-GPTに実行させるような使い方です。

chatGPT に相続税の計算をさせてみた①

cha-GPT で相続税の計算ができるか試してみました。

(chat-GPT 4 を使用しています)

手始めに贈与税の計算をさせてみた

まず、手始めに贈与税の計算をさせてみました。

(なお、質問内容やchat-GPTからの回答は一部抜粋しています)

1000万円を贈与した時の税額を計算してください

贈与税の税額は、贈与された金額や贈与の関係、贈与の回数などにより変わります。また、一定の金額以下の贈与は非課税となる控除があります。

2022年現在、親から子への贈与であれば、1100万円までの贈与は基礎控除により非課税となります。そのため、1000万円を贈与した場合、基礎控除を適用すれば贈与税は発生しません。

と早速 基礎控除の金額を間違えています。

そこで、

贈与の基礎控除は 110万円です。 

1000万円を贈与した時の贈与税はいくらですか

と基礎控除の金額を教えてあげます。すると

すみません、先程の回答で間違いがありました。正しくは、基礎控除額は110万円です。

1000万円を贈与した場合、まず基礎控除の110万円を差し引きます。すると、贈与額は889万円となります。

この金額に対して税率を適用すると、以下のようになります:

300万円までの部分:300万円 × 10% = 30万円

300万円超~600万円までの部分:300万円 × 15% = 45万円

600万円超~889万円までの部分:289万円 × 20% = 57.8万円

これらを合計すると、贈与税の額は132.8万円となります。

とだいたい正しく計算できるようになります。 

所詮 コンピューターですので、条件をはっきりさせればさせるほど間違いが少なくなりそうです。

ちょっとレベルを上げてみた

ちょっとレベルを上げて 10年間の暦年贈与について計算させてみました。

1億円を10年かけて贈与した時の贈与税の総額を計算する

#条件

贈与の基礎控除は110万円

1億円を10年かけて贈与する場合、1年あたり10万円を贈与することになります。

1年あたりの贈与額10万円は基礎控除の110万円を下回るため、贈与税は発生しません。

したがって、1億円を10年かけて贈与した場合の贈与税の総額は0円となります。

意外にも 1年あたりの贈与額を間違えてしまいました。  

相手はコンピューターであることを意識して質問をかえます。

100,000,000円を10年かけて贈与した時の贈与税の総額を計算する

#条件

贈与の基礎控除は1,100,000円

100,000,000円を10年かけて贈与する場合、1年あたり10,000,000円を贈与することになります。

まず、1年あたりの贈与税を計算します。基礎控除の1,100,000円を差し引いた8,900,000円に対して税率を適用します。

300万円までの部分:300万円 × 10% = 300,000円

300万円超~600万円までの部分:300万円 × 15% = 450,000円

600万円超~8,900,000円までの部分:2,900,000円 × 20% = 580,000円

これらを合計すると、1年あたりの贈与税の額は1,330,000円となります。

これを10年分合計すると、贈与税の総額は13,300,000円となります。

と間違いが修正されました。

それでは肝心の相続税の計算ですが、第2回目に続きます。

担当 O

インボイス制度のあれこれ

【 インボイス制度導入のポイント 】

インボイス制度に対応するためにはどんなことが必要でしょうか?

  • 請求書や領収書に 決められた事項の記載が 追加で必要となります。
  • 具体的には 税率ごとの消費税額と、適格請求書発行事業者番号(発行事業者のみ)の記載が義務付けられます。
  • 請求書や領収書に 登録番号が無い場合は、仕入税額控除ができない。という事になります。

【 インボイス制度 導入準備 】

★インボイス制度(適格請求書等保存方式)の導入で準備しないといけないこと。

  • 適格請求書発行事業者の登録の検討。
  • 請求書等の記載事項の追加。
    • 登録番号
    • 税抜き取引価格又は税引き取引価格を税率区分ごとに合計した金額
    • 授記に対する消費税額等及び適用税率

【 導入までの流れ 】

R3.10.1~   R5.3.31までに   適格請求書発行事業者番号の登録

R5.10.1までに   請求書等のフォーマット変更等

R5.10.1~            インボイス制度本稼働

【 インボイスの登録をするべき人は 】

誰もが適格請求書発行事業者番号登録しないといけないのか?

<課税事業者の場合>

もともと課税事業者なので、登録する事で事務処理が増えることはありません。

取引先が仕入税額控除できるように、登録しておきましょう。

<免税事業者の場合>

免税事業者の場合、登録するかしないかを、よく検討する必要があります。

登録する場合、自動的に課税事業者となり消費税申告・納税の手続きを行わないといけないようになります。

【 インボイスの登録をしなかったら 】

登録しない場合、仕入税額控除に必須である「登録番号」を請求書等に記載できません。

仕入税額控除ができないというのは、請求書の受取人である取引先が、納付する税額が増えるという事になります。

代金を支払う取引先が個人消費者や免税事業者の場合は、消費税込みの金額を負担することに変わりがありません。

しかし、取引先が課税事業者の場合取は、相手が消費税を控除できず、その分負担が増すこととなります。

【 経過措置 】

ただし、免税事業者には経過措置があります。

期間の経過に応じて一定の金額を仕入税額控除とすることができます。

取引先の客層や、納税等、よく検討して登録するようにしてください。

担当: T

電子申告での賢い納税方法(特別徴収 編)

住民税 特別徴収 の 納付方法 が 簡単に!

会社で 従業員さんの 住民税を 特別徴収している方は多いですね。

市町村から 納付書が 送られてきます 

これを使って銀行で納付することが多いと思います

しかし、最近はネットバンクを使われている方も多く ネットバンクですましたいですよね

また、 納付書を書き損じた! なくした! なんてことも あります

そんな時には el-tax のサイトから 簡単に納付できるようになります

地方税納付の場合はこちらをどうぞ

el-tax サイトで 特別徴収 の 納付の仕方

おなじみの el-tax サイトから ログインしましょう

「納税メニュー」 を 選択します

手入力による作成 で 納付年度を選びましょう

地方公共団体

区・事務所等

および納入年月を 入力しましょう

そして「納付・納入金額入力」をクリックします

画面がありませんが、 選択した 市町村に納付する額を 入力します

すると 画面が戻りまして 選択した 市区町村に納付する額が表示されました

いったんここで完了です。

ほかに市区町村があるのでしたら、「追加」を選択し繰り返すことで 複数の 市区町村が登録できます。

実際の納付ですが

「納付情報を確認し、納付を行う」 を選択しますと 先ほど登録した納付情報が確認できます

こちらの明細を開きますと 

収納機関番号

・納付番号

・確認番号

・納付区分

の4つの項目の数値を使い ペイジーで納付できます。

最初は戸惑いますが なれると とても便利ですので チャレンジしてみてください

令和3年税制改正大綱 M&A

中小企業の経営資源の集約化に資する税制の創設

令和3年の税制改正が公表されました。

中小企業の M&A 事業承継に関する項目があります。

簡単なイメージですと M&Aで 対象となる会社の株式を取得した場合、 取得代金の最大70%を 経費にできる、というものです。

具体例(経営資源の集約)

M&Aを計画している。対象会社の株式取得代金が3億になりそうだ。

従来だったら、3億の株式を取得し 関係会社株式として資産に計上される。

しかし、今回の制度が創設されたら、 3億円の70% 2億1千万円が経費として認められ、節税につながる 

というものです。

仕訳例(経営資源の集約)

(令和X年3月期)

関係会社株式 300百万円 / 現預金 300百万円

事業再編成投資損失 210百万円 / 中小企業事業再編成投資損失準備金 210百万円

#5年据え置き

(令和X+5年3月期)

中小企業事業投資損失準備金 42百万円 / 投資損失準備金取崩益 42百万円

#令和X+9年3月期まで継続して取り崩し

となります。 

要件(経営資源の集約)

令和3年1月現在では

・ 中小企業等経営力強化法の経営力向上計画の認定を受ける

・ 令和6年3月31日までに認定が必要

・ 株式の取得価額は10億円以下まで

・ 中小企業事業再編投資損失準備金は 取得価額の70% まで

・ 準備金は5年据え置き、 その後 5年かけて 戻入れ

・ 対象は 中小企業経営力強化法の中小企業者 かつ 租税特別措置法の中小企業者に該当するもの

注意点(経営資源の集約)

株式の取得代金の最大70%を損金算入できますが、5年後から戻入をすることとなります。

よって、10年程度を考えると税金は多くも少なくもなりません。

しかし、取得代金のために借入を行う企業にとっては、当初の税支出が抑えられると、決算期末の納税、さらに、翌年の予定納税も抑えられますから、資金繰りは大変助かることと思われます。

取り崩しが開始されることによって、益金が増加しますから、それからは税支出が増加しますので、注意は必要です。

ぜひ活用されてください。

電子申告での賢い納税方法

納税方法

法人税や消費税、地方については事業税や県民税など 税金の種類や 国、地方公共団体に納税が必要ですね。

どうやって納税していますか。今まで通り 紙の納付書に記入して銀行に行き納税していますか。 もっと 短い時間で しかも パソコンの前で可能です。

新しい納税方法

ペイジーという振り込み方法はご存知でしょうか。電話料金の支払や保険料の支払に使っている方も多いと思いますが、じつはこれで税金が納められます。

地方税の納付のメリット

地方税は 大きく 法人県民税や事業税など都道府県に対する支払、 法人市民税など 市町村に対する支払があります。

全国各地に支店や店舗を出している法人では、納付する箇所が何十から百を超えてくるところがあります。

じつはこれが、2回の納付で完了することが可能です。

例えば、5県に支店を出す企業の場合、県民税、事業税等は5か所に納付する必要があります。 今までは 納付書を5枚作成していましたよね? これが、まとめて1回のペイジーで納付が可能です。

例えば、15市町村に支店があれば、 15か所に納付が必要でしたよね、 これが 1回で可能です。 公共的なシステムで 複数の公共団体にまとめて支払ができるなんて、なかなか デキル システムではないでしょうか!

納付の準備

まずは el-tax を開きましょう。

電子申告連動 を 選択します。

手続名の選択

手続名 で 「法人都道府県民税 法人事業税 特別法人事業税(地方法人特別税)  確定申告 」 を選択します。

納付対象申告一覧 に 情報が表示されますので、基本的に全選択をしてください。

また、事業年度は 申告書の会計年度を入力してみましょう。

右下の次へ を押します。

手続名とは

税目 + 申告名  の組み合わせで 一般的には

「法人と道府県民税・法人事業税・特別法人事業税」+「確定申告」

「法人市民税」+「確定申告」

を使うことが多いと思います。

そうしますと、 すべての手続きの合計で表示されますので、確認して次へを押します。

これで、システム側へ 納付データの作成が依頼できました。

納付情報の確認

システムで作成された、納付データを確認します。

納付情報発行依頼の確認・納付 を選択してください。

納付情報の選択

先ほど依頼した納付情報が すでに作成されていますので 必要な情報を選択します。

納付情報の内容

実際のデータはこのようなものです。

ここの

・収納機関番号

・納付番号

・確認番号

・納付区分

の4つの項目の数値を使い ペイジーで納付できます。

法人の納付

法人税、消費税は e-tax から納付情報が自動で割り当てられますので、それで可能でした。

遅れること数年、地方税も 今回紹介した共通納税のシステムで可能となりましたね。

それも、複数の県や市町村をまとめて納付できるという、かなり使えるシステムですので、どんどん活用しましょう。

個人住民税は、会社に働きに来られる方の居住地の市町村と関係しますから、これもまとめて納められますので、手続きの効率化はかなりのものとなります!

交際費と税務調査

令和2年度税制改正

令和2年度税制改正で 交際費についての見直しがありました。

結果から申し上げますと、資本金等が100億円超の大企業についてのみ 変更がありました。

よって、一般の中小企業者は 従来通りの対応ということになります。

大企業の交際費

対象企業 資本金等が100億円超

内容 接待飲食費を含めた交際費等の金額が損金不算入となる

というものです。 一人当たり5000円以下の社外飲食費は除かれるのは従来通りとなります。

適応時期 令和2年4月1日 以降に開始する事業年度

中小企業の交際費

交際費等の額のうち 飲食接待費の50%相当額を超える部分の金額は、その事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない(措法61の4)。

資本金等の額が1億円以下である場合、定期控除限度額(800万円)と 飲食接待費の50%総合額の金額のいずれかの金額を損金の額に算入する

交際費の記載要件と保存要件

社外飲食費をのぞく交際費については年月日、参加した得意先などの氏名又は名称 その関係 参加した人数 などを記載する必要があります。

これらの定められる書類を「保存」している場合に限れらます

交際費の税務調査

交際費について 会社が経費を使い 景気向上に役立つなどの狙いがあったわけですが、実際のところ そういうデータも見られていないようです。

そうなると交際費を認める意義がなくなるわけで、調査官の対応も より厳しくなることが予想されます。

厳しく対応することを前提とすれば、記載要件 保存要件を 厳しく適用してくるでしょうから 今後 より一層 管理を徹底する必要がありそうですね。

銀行との正しい付き合い方  ~銀行融資取引について~


金融機関からの資金調達は、提供する情報量に比例します

「いつもお世話になります。社長、昨年と同様に前期の決算書の写しを頂けますか?」

 決算業務が終わり、納税も終わってホッとしているところに、ある日メイン銀行の営業担当者から電話がかかってきました。

「わかった。来週までに決算書を準備しておくから、うちの経理に預けておくよ。都合がいい時に会社に取りに来て!」と言い、社長は電話を切ります。

 私が前職で地方銀行に約9年間勤めていた頃には、よくある会話でした。

 自己資金が潤沢で、金融機関からの借入はなく(融資の枠だけ存在するなど)、今後も銀行融資を必要としないとういう企業はこの対応で問題ないと思われます。

 しかし、そうでない企業は上記のように銀行の営業担当者に決算内容について話しもせずに、ポンと決算書を渡すやり方は少し改めた方がいいかもしれません。

 決算書には様々な要素が詰まっているため、概況を説明する必要があります。前期との決算を比較して、数値の変化の背景を理解してもらうためです。とくに赤字や減収・減益などネガティブな要素は、要因を文章にまとめて渡すと心象が良くなります。

 それでも…

「余計なことを言ってしまうと、今後貸してもらえないのではないか。」

「現場や営業ばかりで、数字のことがよくわからない。」

「銀行員と何を話せばいいかわからない。」

 こんなことを考えられている経営者の方もいらっしゃるかと思います。

 銀行のことが苦手な経営者は、銀行への情報提供を敬遠してしまいがちですが、情報提供を渋るのは大きな誤りです。

 情報提供が不足している状態で、融資が必要な時期に、慌ててメイン銀行の営業担当者に連絡して、「今月お金が足りないんだけど、取り急ぎ融資をお願いします。」とだけ言ったところで、資金調達はスムーズにいきません。

 現在ではAIの進歩により、一部では人の手が加わらない融資も存在します。しかしながら、大部分は人の手によって融資の稟議書を作成しています。営業担当者が稟議書を作成・回覧し、営業の上席、融資の上席、支店長、融資本部担当者の全員の承認を得て、初めて融資実行の手続ができます。融資が実行されるまでには時間がかかるのです。時間がかかるからこそ、日頃から銀行の営業担当者に対して必要な情報提供を欠かさないことが重要なのです。

融資を受けるためのコツ

そこで、銀行融資をスムーズに受けるためにはいくつかコツがあります。

①企業概要書を作成する。

 業種、業歴、沿革、強み弱み、技術力、販売力、業界動向、資産の含み益社長の個人資産についてなど、一度簡単な書類を作成し整理しておくと、銀行の営業担当者はどのような企業なのかが一目でわかります。転勤が多い銀行の営業担当者に会社をすぐに知ってもらうきっかけになり、同時に会社に安定した経営力があることを理解してもらうことができます。

②資金使途と返済財源を明確にする。

 たとえ、業績が好調な企業であっても「お金が足りないから貸して」といった、漠然とした理由では融資は受けられません。お金を借りるときは、健全な資金使途を明確にする必要があります。お金の流れをわかりやすく説明することが必要です。たとえば、売上増加に対応するための仕入資金であるとか、事業拡大のための設備資金であるといった前向きな使途を説明する必要があります。

 また、借入金をきっちりと返せることも説明しなければなりません。資金繰り表収支計画をつくって返済財源がしっかりあることを示します。

③試算表や資金繰り表を毎月銀行に提出して最新の業績について理解してもらう。

 会社の業績や資金繰りに関する理解が高まれば高まるほど、融資審査は有利となります。

財務情報は隠してはいけません。取引がある銀行へ郵送しても構いませんし、月一回程度銀行の営業担当者が訪問してきた際、手渡しでも構いません。重要なことは、会社の直近の状況を定期的に把握してもらうことです。

④関連会社がある場合には、関連会社との関係を明確にする。

 たとえば、親会社で追加での資金調達が難しくなった場合に、関連の小会社を通じて資金を調達し、親会社へ流用するなどの事例が多くあります。関連会社がある場合は、資金が関連会社に流用されてしまうのではないかと銀行に疑われます。そのため関連会社の事業内容や財務状況は、積極的に説明しておく必要があります。

⑤不動産担保に頼りすぎない。

 過去、融資は担保主義だった時代も確かにあります。地価が上昇し続けていたバブルの時代に不動産融資を積極的に行ってきた銀行は、バブル崩壊後に地価の大幅な下落に伴い、大きな損失を抱えた経験があります。このような経験から、現在では担保に頼り過ぎた融資をしないよう金融庁から銀行に対して指導がありますので、銀行は従うしかありません。担保価値に余力があっても、その余力に頼りすぎた資金計画を立てないことが重要です。

⑥他行取引がある場合は、金融機関取引一覧表を作成する。

 銀行は自行の取引状況は全て把握できますが、他行の情報は一切わかりません。

他行に預金や借入金(融資枠)がいくらあって、月々の積立や返済はいくらである、担保設定状況はこのようになっている、などの情報を提供することが必要です。

⑦メインで利用している口座で融資を申し込む。

 入金や支払などの資金の動きが多い口座を開設していると、売上入金や仕入、経費の支払の動きがわかりますので、会社に対する理解が高まり、融資を受けやすくなります。融資を受ける際はメインで利用している口座で申し込むことをお勧めします。

⑧日本政策金融公庫と信用保証協会を上手に利用する。

 はじめて融資を受ける企業は、まずは、公的な金融機関を活用してください。公的な金融機関ですので、零細企業や創業したばかりの会社への融資を積極的に行っています。公的な金融機関についても提出する資料に変わりはないので、同様に対応してください。

銀行員もノルマがあります

 情報提供量が増えれば増えるほど、銀行の営業担当者は強い味方になってくれます。

 常に最新の情報を提供し、情報が蓄積していくことで、資金使途や返済能力を理解して、融資したお金がしっかり返してもらえるシナリオを描きやすくなるのです。

 また、毎月試算表や資金繰り表を作成・提出し、銀行の営業担当者に見てもらうことで、いつごろ資金が必要になるのか、いくらぐらい必要か、月々どのくらいなら返済できるか、といったことがあらかじめ意思疎通ができてきます。そのためにも、会社の現状について客観的な情報を提供しなければならないのす。

 銀行も一つの企業であり、営業担当者には営業目標があります。その目標は新規融資や融資増加額で評価される為、彼らは本当は借りてもらいたいのです。是非、銀行の営業担当者にたくさんの情報を提供し、スムーズな資金調達を実践してみてください。

(担当:SS)

外国人技能実習生に対する源泉所得税

 

最近外国人技能実習生を採用する企業が増えています。

今回のテーマは外国人技能実習生の給与に対する源泉所得税です。

 

外国人技能実習生は所得税法上、日本の居住者に該当します。そのため、日本人労働者同様、給与は国内源泉所得として課税対象となります。

課税対象となる場合、日本人労働者同様に源泉所得税を給与から控除して支給し、年末調整により最終的に税額を確定させることとなります。

 

年末調整の際の配偶者控除や扶養控除については、親族関係書類や送金関係書類を提出することにより控除を受けることができます。

親族関係書類とは、戸籍謄本や出生証明書、婚姻証明書などのその親族が従業員の親族であることの証明となるものです。

送金関係書類とは、金融機関でその従業員から海外の親族へ向けて行った外国送金依頼書などの書類または海外の家族の使用履歴のわかるクレジットカード明細書などの書類です。

 

但し、日本が各国と結んでいる租税条約の内容により外国人技能実習生の給与に対する源泉所得税の取り扱いに違いが出てきます。

 

ベトナムの場合、技能実習生が日本企業より受け取る給与は課税となる租税条約が結ばれており、先述したように年末調整により源泉所得税が確定されます。

中国の場合、技能実習生が日本企業より受け取る給与は非課税となる租税条約が結ばれており、租税条約に関する届出を提出することにより免除されます。

その他の租税条約締結国においてもインドネシアやフィリピンは所得制限があるものの

ベトナム同様に課税となる租税条約、タイは中国と同様に租税条約に関する届出を提出することにより給与が非課税となる租税条約が結ばれています。

このように外国人技能実習生をどこの国から受け入れるかによって給与に対する源泉所得税の取り扱いには違いが出ますので注意が必要です。

 

(担当:HO)