中小企業の経営資源の集約化に資する税制の創設

令和3年の税制改正が公表されました。

中小企業の M&A 事業承継に関する項目があります。

簡単なイメージですと M&Aで 対象となる会社の株式を取得した場合、 取得代金の最大70%を 経費にできる、というものです。

具体例(経営資源の集約)

M&Aを計画している。対象会社の株式取得代金が3億になりそうだ。

従来だったら、3億の株式を取得し 関係会社株式として資産に計上される。

しかし、今回の制度が創設されたら、 3億円の70% 2億1千万円が経費として認められ、節税につながる 

というものです。

仕訳例(経営資源の集約)

(令和X年3月期)

関係会社株式 300百万円 / 現預金 300百万円

事業再編成投資損失 210百万円 / 中小企業事業再編成投資損失準備金 210百万円

#5年据え置き

(令和X+5年3月期)

中小企業事業投資損失準備金 42百万円 / 投資損失準備金取崩益 42百万円

#令和X+9年3月期まで継続して取り崩し

となります。 

要件(経営資源の集約)

令和3年1月現在では

・ 中小企業等経営力強化法の経営力向上計画の認定を受ける

・ 令和6年3月31日までに認定が必要

・ 株式の取得価額は10億円以下まで

・ 中小企業事業再編投資損失準備金は 取得価額の70% まで

・ 準備金は5年据え置き、 その後 5年かけて 戻入れ

・ 対象は 中小企業経営力強化法の中小企業者 かつ 租税特別措置法の中小企業者に該当するもの

注意点(経営資源の集約)

株式の取得代金の最大70%を損金算入できますが、5年後から戻入をすることとなります。

よって、10年程度を考えると税金は多くも少なくもなりません。

しかし、取得代金のために借入を行う企業にとっては、当初の税支出が抑えられると、決算期末の納税、さらに、翌年の予定納税も抑えられますから、資金繰りは大変助かることと思われます。

取り崩しが開始されることによって、益金が増加しますから、それからは税支出が増加しますので、注意は必要です。

ぜひ活用されてください。

投稿者 esstaff