マイナス金利と住宅ローン金利への影響

 

日本銀行は平成28年1月29日の金融政策決定会合において「マイナス金利付き量的・質的緩和」が決定し、日銀当座の一部へのマイナス0.1%適用が2月16日にスタートしました。簡単にいうと、お金を借りる方が金利を受け取り、お金を貸す方が金利を払うことです。これに伴い銀行は住宅ローン金利の引き下げを始めました。

そこで、最近私がやっている住宅ローンの借り換えの実体験を交え、その仕組み等を記述したいと思います。

銀行借り入れについてはこちら

住宅ローン金利の決定の仕組み

住宅ローンの金利は、基本「短期プライムレート」をもとに金融機関が毎年4月1日、10月1日に決定しています。ここでいう「短期プライムレート」とは、金融機関が優良企業向けに対して、1年以内の短期で貸し出す際に適用する最優遇貸出金利のことで、金融機関同士が資金の貸し借りをする際の市場金利に連動します。

市中金利に大きな影響を及ぼしてるのが日銀の政策金利であり、住宅ローンの変動金利は、日銀の政策金利との連動性が極めて高くなります。

しかし、今回のマイナス金利の導入は、政策金利の引き下げではないので、短期プライムレートが直接下がるわけではありません。マイナス金利が影響を与えるのは、長期金利と10年物国債利回りです。

つまり、変動金利に対して固定金利は長期金利に連動します。特に住宅ローンの固定金利は10年物国債利回りの影響が大きく、マイナス金利の導入のより、住宅ローンの長期金利の指標となる10年国債利回りは、歴史上初の0,001%まで低下しました。これが今回住宅ローン金利が下がった理由です。

 

~では、本題である住宅ローンの借り換えをメインに、借り換えのコツそして落とし穴について記述したいと思います~

 

住宅ローン借り換えの目安

  1. 借入しているローンと借り換え後のローンの金利差が1%以上
  2. ローン残高が1,000万円以上
  3. 残りの返済期間が10年以上

 

以上を満たせばメリットがあると一般的にいわれています。

ただ注意しなければならないのは、現在のローンの金利より低い金利に借り換えればメリットが出るとは限らないことです。なぜなら、住宅ローンの借り換えの際にも新規の借入れと同様に諸費用がかかります。

  1. 保証料
  2. 登記費用
  3. 司法書士手数料
  4. 団体信用生命保険料
  5. 銀行事務手数料
  6. 契約書貼付印紙税

金利差だけを見るのではなく、借り換えした際の諸費用を支払ってでも借り換えるメリットがあるのかどうかを確認する必要があります。

また、いろんな金融機関の借り換え情報を調べていると、見えてくるがモノがあります。

それは、

ⅰ) 保証料がゼロ

ⅱ) 他の金融機関より非常に借り換え金利が低い

このキャッチフレーズをウリに借り換えを行っている金融機関は、要注意です。

ⅰの場合は、確かに保証料はゼロですが、事務手数料が高額です。(例えば、借入残高の2.16%の事務手数料、それに加え借入残高応じて毎年団信の支払いが発生する)

ⅱの場合は、非常に審査が厳しくなります。(例えば、市街化調整区域は融資不可もしくは減額、団信が拒絶された場合は融資不可、返済比率の上限が年収に応じて差が大きい、評価割れした場合の超過保証料がない、他)

 

※実際私の場合、家を建てた後に住居地区が市街化調整区域に指定され、その結果として担保評価が低くなり、減額にて審査結果が来ました。(これを受入れるには、減額分を頭金として払うか、超過保証料を払うほかにありませんでした。)

 

審査に落ちない為のコツとポイント

一般的な事前審査では、以下の1~7の情報を審査されます。
本審査では、8~9が審査対象になります。
1.年収に対しての返済比率
2.物件価格に対しての自己資金比率
3.現在の他の借入の状況
4.個人信用情報
5.勤務形態
6.勤続年数
7.勤務先の実態と信用
8.健康状態(団体信用生命保険)
9.物件の担保評価
金融機関は、上記1~9の審査情報の内容が良い顧客の事を「属性が良い」と言い、逆に内容が良くない顧客の事を「属性が悪い」と表現します。
当然「属性の良い方」は、スムーズに住宅ローンの審査が通り何の問題無く住宅ローンを組むことが出来ます。逆に「属性の悪い方」は、審査が厳しい場合が多く審査が通らないケースも御座います。
それでは、金融機関が考える「属性が悪い」とはどのような場合の事を言うか解説させて頂きます。
以下の3つ以上に当てはまる場合、金融機関が言う「属性が悪い」に該当する可能性が高いかもしれません。
1.過去7年以内に債務整理をした事がある
2.クレジットなどの返済日を遅れて引き落とさる事が度々ある
3.現在も消費者金融やキャシングの借入れがある
4.運転免許証の番号の最後の一桁が4以上の数字
5.キャッシング枠のあるクレジットカードを複数枚保有している
6.携帯電話を分割払いで購入している
7.自動車ローンが数百万円の残債がある
8.雇用形態が契約社員、アルバイト、パートである
9.自営業(自由業)で確定申告額が少ない
10.健康保険証が国民健康保険
11.社会保険だけど資格取得年月日が勤続年数と異なる
12.勤務先が小規模または社歴が3年未満である
13.給与体系が時給や日給制である
14.給与体系が歩合制である
15.現在、産休中又は前後である
16.独身である
17.勤続年数1年未満
18.諸費用も住宅ローンに組み込みたい
19.高血圧や糖尿病などの持病がある
上記1~19については、1つでも心当たりがあるまたは該当する場合は、事前審査を申込みする際にその該当する事柄について詳細説明をする必要があります。
何も説明をせずに事前審査の申込みをすると、金融機関側から「今回は、総合的な判断でお受け出来ません。」と審査不承認になる可能性があります。
最近では、金融機関に不承認理由を尋ねても「総合的な判断で・・・」と明確な理由を教えて頂けなくなりました。
不承認理由が判らないとなると不承認を覆す事は困難です。
逆に、上記1~19について、予め心当たりがあるまたは該当事項が解っていれば対策をしてから事前審査申込みに挑む事により「承認」を得られる可能性が高くなります。

 

マイナス金利で住宅ローンを借り換えを考えるならば、「全期間固定型」で将来の不確実性を排除することができる。

つまり前述したように変動金利と固定金利の差が歴史的に縮小した今、「全期間固定型がオススメ」と考えることが賢いと思われます。そもそも全期間固定ならローンの総返済額が初めからハッキリわかるから不確実性はゼロ。しかも今なら超低金利。長期間ほど割安かつ安全というわけで、現状の低金利が続くという不確定の前提を元にローンは考えないほうが無難だと考えられます。

【ポイント1】
全期間を固定金利にして総返済額を「確定」する
~変動型は金利上昇で支払額が増大してしまう! ~

低金利で人気の変動型ですが、金利を約束する期間はたったの半年。今の0.6%前後の金利がずっと続く保証はまったくなく、30年後には2%以上になっている可能性はゼロではありません。一方、35年固定は、変動型の実に70倍もの期間で今の金利を固定します。その金利は1.5%前後で、変動金利との差は1%以下の水準にまで低下しました。もともと変動型に比べて圧倒的に長く金利が固定されていて安心でありましたが、昨今の低金利で変動型との金利差がぐんと縮まり、オトクになったと考えられます。

【ポイント2】
「まずは変動で借りておき、将来は固定へ」は危険!
~金利の上昇局面においては変動より固定が先に上がる~

住宅のセールストークに「先ずは低金利の変動で借りておき、毎月の返済額を抑え、金利が上がりそうになったら、固定に切り替えればいい」というのがあります。0.6%の変動金利が上がりそうになれば0.8%の10年固定に切り替えたらいいというわけですが。しかし「こうしたスイッチング作戦は実現性が低い」。実は固定金利のほうが先に上昇する仕組みになっていることがあります。このため、0.8%で借りるつもりが、1%超で借り換える羽目になってしまうことになるのが現実だと考えられます。

  • まとめとしまして、何よりも先ず、各銀行に出向き直接話を聞くこと。そしてシミュレーションを必ずやってもらうことです。それから上記のことを踏まえながら、ほんとに何が一番良い方法なのかを模索して頂きたいと思います。机上の空論では、失敗する可能性があります。特に、保証会社の審査は一発試験なので、慎重に対策を立てて挑んで下さい。
  • 私の場合の顛末ですが、担保が評価割れをし、借り換え時の諸経費が想定以上に高額になってしまったため、借り換えを諦め、現在住宅ローンを借り入れしている金融機関に対して、他の金融機関のシミュレーションを引き合いに、金利引き下げ交渉を行っている最中です。借り換えではありませんが、これも金利引き下げの方法の一つだと思います。上手くいけば、諸経費が事務手数料(平均5,400円)と印税代の最低限度に納まるので、一番メリットの出る方策になる可能性は十分あるかと思われます。

 

追記、平成28年度住宅税制をまとめてみました★

近年は空き家の増加が大きな社会問題となり、住宅政策も「既存住宅流通・リフォーム」を主眼としたものに転換しつつあります。平成28年度の住宅税制でも、空き家対策を目的とした特例措置や住宅リフォームに関する特例措置が新たに設けられました。
また、適用期限を迎えた主な特例措置については延長が図られたほか、住宅ローン控除などに対する一部の要件が緩和されています。
平成28年度(2016年度)の住宅税制について、個人の住宅に関わる改正内容を確認しておきたいと思います。

  • 空き家の発生を抑制するための特別措置の創設
    総務省が実施した「平成25年住宅・土地統計調査」による空き家数は全国で約820万戸に達しており、このうち賃貸用や売却用などを除いた「その他の空き家」は約318万戸です。これらは当面の使い道がなく放置されているのですが、その発生原因の過半数は「相続」とされました。
    親などから相続した家は、建築時期が古くて耐震基準を満たしていない場合が多いほか、長年保有していた家を売却すれば、多額の税金負担を強いられることも少なくありません。
    そこで、空き家の発生を抑制するための観点から新たな特例措置が設けられました。一定の要件を満たす空き家(または解体後の敷地)を売却した場合には、その譲渡所得から3,000万円が控除され、譲渡所得税および個人住民税を減らすことができます。

 

※〔3,000万円控除のための主な要件〕

□ 平成28年4月1日から平成31年12月31日までの売却であること
□ 相続の開始があった日から3年を経過する日が属する年の12月31日までの売却であること
□ 譲渡対価の額が1億円以下であること
□ 被相続人(死亡者)のみが居住していた一戸建て住宅などであること
□ 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
□ 相続を機に空き家となったものであること
□ 空き家となった後に、その家屋および敷地を事業用、貸付用、居住用に使っていないこと
□ 耐震基準を満たさない場合は、耐震リフォームをした後に売却すること
□ もしくは空き家を解体した後の敷地を売却すること

■三世代同居に対応した住宅リフォームをした場合の特別措置の創設

「世代間の助け合いによる子育てしやすい環境整備を図ること」を目的として、三世代同居改修工事に対する特例措置が設けられました。
リフォームローンを借りた場合に適用される「ローン型減税」と、ローンを借りなくても使える「投資型減税」があり、いずれもリフォーム工事後、平成28年4月1日から平成31年6月30日までの間に「居住の用に供した」場合が対象になります。
特例措置が適用される「三世代同居改修工事」とは、キッチン、浴室、トイレ、玄関のうち少なくとも1つを増設したうえで、改修後に「いずれか2つ以上が複数箇所」となるものです。
たとえば、すでにトイレが2箇所ある住宅ならキッチン、浴室、玄関のいずれか1つを増設すればよいのですが、どれも1箇所ずつの住宅なら少なくとも2種類を増設することが必要です。

特例措置の適用はこの形式的な基準によって判断され、実際に三世代が同居しているかどうかは問われません。
また、ローン減税の場合は「工事費用」が50万円(補助金などの交付がある場合は、その額を控除した後の金額が50万円)を超えるものであること、投資型減税の場合は「標準的な工事費用相当額」が50万円(補助金などを控除した後の額)を超えるものであることが要件になります。

さらに、リフォームローンを借りる場合は償還期間が5年以上であることなどのほか、現行の住宅ローン控除(増改築等)に定めるのと同様の要件を満たすことも必要です。なお、投資型減税において、その年分の合計所得金額が3,000万円を超える場合は対象外となります。

■住宅ローン控除などにおける適用要件の一部緩和

適用者の多い住宅ローン控除制度ですが、これまで「取得時点で居住者(国内に居住する者)であること」が一つの要件となっており、海外赴任者が帰国前に住宅を購入するようなケースでは適用されませんでした。
平成28年度の税制改正ではこの点が改められ、「非居住者」であっても、その他の要件を満たせば次の特例が適用されることになりました。「取得後6か月以内に入居すること」などは求められますが、従来よりは柔軟性が増したといえるでしょう。
住宅ローン控除以外にも、いくつかの特例などで同様の対応がとられています。
緩和の対象となるのは次の特例措置などです。
□ 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除(住宅ローン控除)
□ 特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例
□ 既存住宅の耐震改修をした場合の所得税額の特別控除
□ 既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除
□ 認定住宅の新築等をした場合の所得税額の特別控除
□ 東日本大震災の被災者等に対する一定の特例措置

なお、この改正は平成28年4月1日以降の新築、購入、増改築などが対象です。

 

担当:HR

 

投稿者 esstaff