減価償却について

急に寒くなり、気候的には秋の気配を通り越して早くも冬がやってきたような感じです。

またこの時期になると、年末調整に始まり、確定申告に向けていろいろと準備を始める時期になります。

そうなってくると、いろいろ気になることもでてくるのではないでしょか?

そのなかで、減価償却について書いてみたいと思います。

減価償却費ってどういうこと?

ざっくり言ってしまうと、大きな買い物をしたので一度に経費にしたいけど、長く使えるので使える期間で経費を分割しましょう、いうものです。

大きな設備投資をする以上、回収にはかなりの時間がかかるのではないでしょうか。そう言う点でも、分割して経費にすることは重要かもしれません。

新しい建物や車両を購入する際、大きな金額が必要になります。

ですが、この建物や車両が中古だった場合は、必要な金額が新しい建物や車両を購入するよりは、少なくなると思います。

この金額の差額が、時の経過や使用したことによる価値の減少となります。

 減価償却費の額の把握

では、時の経過や使用したことによる価値の減少といっても、毎回毎回同じ資産の市場価値をはかるのは、とても大変でしょうし、(業種や状況によっては必要なこともあると思います。)

必要だから大きな金額をかけて購入したわけですから、当然のことながら、使用します。

時の経過や使用することで価値が減少する部分を計算し、経費処理します。

<新しい建物や車両> - <中古の建物や車両>

= 減価償却  →減価償却資産

 

因みに、書画骨董等の類は、時の経過により価値が上がる場合もあるので、減価償却資産には該当しません。

 

 <1> 減価償却の計算方法

Ⅰ.使用期間1年未満、購入金額10万円未満は全額、購入時の年度の経費

Ⅱ.10万円以上20万円未満は、3分の1ずつ3年間で経費処理・・・H10改正

(但し、途中で売却や廃棄しても必ず3年間で経費処理する)

 

改正内容と減価償却費の計算式

【H10改正】

・H10年4月1日以後取得の、建物の償却方法が定額法のみ

・中途で事業の用に供した減価償却資産の初年度2分の1簡便償却が廃止

・少額の減価償却資産の取得価額標準が20万円未満から10万円未満に引き下げ

・建物の耐用年数が短縮

 

  • 旧定額法・・・経費(償却費)の金額が毎年同じ(原則)

購入金額 × 90% × 旧定額法の償却率 = 減価償却費

 

 

  • 旧定率法・・・経費(償却費)の金額が初めの年ほど多く、年々減少

購入金額 × 旧定率法の償却率 = 減価償却費

 

 

【現行:H19改正(1円まで償却)およびH23改正(250%定率→200%定率)】

  • 定額法・・・経費(償却費)の金額が毎年同じ(原則)

購入金額  ×  定額法の償却率  =  減価償却費

※定額法の償却率は、法定耐用年数表で確認します。

 

  • 定率法・・・経費(償却費)の金額が初めの年ほど多く、年々減少

未償却残高  ×  定率法の償却率  =  減価償却費

(初年度は、購入金額)

※定額法の償却率は、法定耐用年数表で確認します。

償却保証額に満たなくなった場合は、改定取得価額×改定償却率で計算

 

 

【現行: H19改正】30万円未満の資産(少額減価償却資産)の一括償却

(H18.4.1~H28.3.31)・・・改正で2年延長

・中小企業者等

・青色事業者

・合計金額300万円に達するまで

 

対象資産は取得価額が30万円未満である減価償却資産について適用なので、有形無形問いませんし、新品中古も問いません。

 

春先の、パソコンのWindows XPの切り替えはこの条件に該当する場合が結構あるのではないでしょうか。

 

 

 <2> 中小企業者等とは

資本金の額(出資金の額)が1億円以下の法人。

ただし、

1つの大法人に株の2分の1以上所有、2つ以上の大法人に3分の2以上保有されていないこと

 

<3> 今後の傾向

 

簡単に計算方法をまとめてみましたが、改正ごとに少しずつ減価償却費が少なくなっているような気がします。H10年度の改正は、最初の就職氷河期なんて言われる時期ですし、H19年度の改正では証券会社の破綻等があった時期ではないでしょうか。景気の低迷とともに、経費を減らしていき課税所得を増やしていく、そんな感じでしょうか。

 

少し前まで、アベノミクス効果なんて言われていましたが、消費税増税に伴い、景気がまた滞り始めたので、来年あたりまた減価償却改正に手が入るとのことです。

 

 内容は、定率法の廃止。

 

税制調査会では IFRS(国際会計基準)の導入や事業のグローバル化にと伴うグルーブ内会計の統一化などを背景に、減価償却の方法を定率法から定額法に見直す動きが見られる。また、課税ベースの拡大の一環として減価償却制度の見直しを行うことが国際的な動きとなっており・・・

と、改革の方向性の中に記述があります。

 

減価償却に限らず、税金の類は負担増にありますので、今後の税法改正に目を向けてみてはいかがでしょうか。

担当 N

 

 

投稿者 esstaff