農業生産法人への法人化と農業法人経営支援策

 

任意組織としての集落営農から農業生産法人へ法人化が進んでいます。

農業生産法人への法人化のメリットとして以下のようなものが挙げられます。

① 法人格があることにより、農地利用権の設定が可能です。また農業経営基盤強化準備金が利用できます。

② 内部留保が可能なこと、組織として融資や出資を受けるられることなど将来の経営展開のための投資財源を確保できます。

③ 農の雇用事業の対象となること、雇用保険・労災保険などの福利厚生が整うことにより、雇用の確保が可能となります。

 

このように集落営農の法人化には様々な利点があり、地域農業の発展のためにも法人化を実現していくことが重要です。

 

次に農業法人経営への支援策についていくつか記述します。

① 担い手経営発展支援事業

農業経営に関する諸問題に対応し、担い手の更なる経営発展を支援するための事業です。法人化支援策の一部を列挙します。

・ 集落営農の組織化のための必要経費助成(定額20万円)

・ 集落営農の法人化のための必要経費助成(定額40万円)

・ 複数個別経営を法人化するための必要経費助成(定額40万円)

 

② 農業経営基盤強化準備金

農業経営改善計画等に従って、対象となる交付金を農業経営基盤強化準備金として積み立てた場合、所得の計算上、この積立額を損金算入できます。

積み立てた準備金を5年以内に取り崩して、農用地や農業用の建物・機械等の固定資産を取得した場合には、圧縮記帳ができます。

対象資産

・ 農業用の建物(建物附属設備)

・ 農業用の構築物

・ 農業用設備(機械装置、器具備品)

 

③ 農の雇用事業

就農希望者の雇用・育成、次世代経営者の育成を支援する制度です。

Ⅰ 農業法人等就業実践研修支援事業

全国農業会議所が支援する事業で、農業法人等が就業希望者を新たに雇用して、生産技術や経営ノウハウ等を習得させる研修を実施する場合に、研修経費の一部を助成する支援策です。

Ⅱ 次世代経営者育成派遣研修支援事業

農業法人等において、次世代の経営者を育成するため、先進的な農業法人や異業種の法人に役職員を派遣して行う際の派遣研修経費及び代替職員を雇用した場合の代替職員人件費に対して助成する支援策です。

 

④ 農業法人投資育成制度

農業法人が外部から円滑に資金調達が図られるよう支援する政策です。出資比率は50%以内で、発行株式は無議決権株式です。

農業経営のために使う場合資金使途に制約がないこと、自己資本の増強に繋がること、対外信用力の向上により融資が受けやすくなることなどのメリットがあります。

 

以上、4つの支援策について概要を説明致しました。ここに挙げた農業生産法人への法  人化の支援策、経営支援策、人材確保策の他にも数多くの制度が設けられており、TPP等により農業を取り巻く環境の変化が予想される今後の農業経営には税務・法務の専門家を活用して効果的な施策を講じることがより重要になってきています。

(担当O)

 

 

 

投稿者 esstaff