年末調整について

 

師走となりますと、何かと慌ただしい年の瀬でございます。

そんな慌ただしい中、給与所得者に対する年末調整を行う時期が本年もやってまいりました。

そもそも年末調整とは

そもそも年末調整とは、給与の支払者が、給与の支払を受ける人(所得者)の各人ごとに、その年中に支給されることが確定した給与の総額について納めるべき所得税(復興特別所得税を含む)を算出し、これと毎月の給料や賞与などから徴収している所得税の合計額とを比べて、その過不足額を清算する事務作業のことです。

この年末調整によって大部分の給与所得者はその年の所得税の納税が完結し確定申告の必要がなくなります。

その意味からも年末調整の事務は、給与の支払者にとっても、また給与の支払を受ける給与所得者にとっても極めて重要な事務といえます。

 

昨年との変更点 平成26年10月17日改正

 

年末調整の基本的な仕組みは、昨年と変わりありませんが、平成26年10月17日の所得税法施工令の改正により、通勤のため自動車等の交通用具を使用している給与所得者に支給する通勤手当の非課税限度額が次表のように引き上げられました。

 

改正後の通勤手当非課税限度額

① 交通機関又は有料道路を利用している人に
支給する通勤手当
1ヶ月当たりの合理的な運賃等の額
(最高限度額 100,000円)
同 左
② 自動車等の交通用具を使用している人に支給する通勤手当 通勤距離が片道55キロメートル以上
である場合
31,600円 24,500円
通勤距離が片道45キロメートル以上
55キロメートル未満である場合
28,000円
通勤距離が片道35キロメートル以上
45キロメートル未満である場合
24,400円 20,900円
通勤距離が片道25キロメートル以上
35キロメートル未満である場合
18,700円 16,100円
通勤距離が片道15キロメートル以上
25キロメートル未満である場合
12,900円 11,300円
通勤距離が片道10キロメートル以上
15キロメートル未満である場合
7,100円 6,500円
通勤距離が片道2キロメートル以上
10キロメートル未満である場合
4,200円 4,100円
通勤距離が片道2キロメートル未満
である場合
全額課税 同左
③ 交通機関を利用している人に支給する
通勤用定期乗車券
1ヶ月当たりの合理的な運賃等の額
(最高限度額 100,000円)
同左
④ 交通機関又は有料道路を利用する他、
交通用具も使用している人に支給する
通勤手当や通勤用定期乗車券
1ヶ月当たりの合理的な運賃等の額と
②の金額との合計額
(最高限度額 100,000円)
同左

 

 改正の適用

 

 この改正は平成26年10月20日に施工され、平成26年4月1日以後に支払われる通勤手当について適用されますので、非課税限度額を超過したとして課税された通勤手当のうち改正により非課税とされる額がある場合には、年末調整によって清算する必要があります。

 

改正後の非課税規定の適用

改正後の非課税限度額は平成26年4月1日以後に支払われるべき通勤手当について適用されますので、次の通勤手当については適用されませんので注意してください。

① 平成26年3月31日以前に支払われた通勤手当

② 平成26年3月31日以前に支払われるべき通勤手当で平成26年4月1日以後に支払われたもの(例えば2月や3月に支払うべき通勤手当を4月に支払った分など)

③ ①、②の通勤手当の差額として追加支給されるもの

 

 

課税済の通勤手当について精算の具体的なやり方

 

1.すでに改正前の非課税規定を適用したところで課税された通勤手当のうち、改正後の非課税規定によって新たに非課税となった部分の金額を計算します。

2.「平成26年分給与所得・退職所得に対する源泉徴収簿」の年末調整欄の余白に「非課税となる通勤手当」と表示して1.の計算した今回の改正により新たに非課税となった部分の金額を記入します。

3.また、源泉徴収簿の「年末調整」欄の「給料・手当等」欄には、「給料・手当等」欄の「総支給金額」の欄の金額から2.の新たに非課税となった部分の金額を差し引いた後の金額を記入します。

4.以上により、改正後に新たに非課税となった部分の金額が、本年の給与総額から一括して差し引かれて、差引後の給与の総額を基に年末調整を行います。

 

上記のように本年の年末調整は多少ややこしくなっておりますので、年末調整の事務をされる方は十分にご注意ください。

担当 Y.E.

投稿者 esstaff